昨日の続きです。西洋甲冑の主材料は鉄。鉄板を加工したアーマーの前に、針金を加工してつくる「鎖かたびら」が主役の時代がありました…
まず、西洋式鎖かたびらの表記として広く流布している「チェインメイル」chain mailですが、これは言葉本来の意味からいうと正しくないとのこと。(下表、赤字の部分は、記憶があやふやだったので後で辞典にあたって調べました。)
英語 | 語源(ラテン語) | 漢字(読み) | 意味 |
---|---|---|---|
chain | ←catena 連鎖 | 鏈(くさり) | 金属の輪を線状につなげたもの |
←macula 網の目 | 鎖(くさり) | 金属の輪を面状につなげたもの |
これをふまえてchain mailを文字通り解釈すれば、「鎖−編み目」。「頭痛が痛い」とか「馬から落ちて落馬」といった重複表現のお仲間になってしまいます。膝丈を超えるような長いものなら「コート・オブ・メイル」coat of mail、短めのものなら「メイル・シャツ」mail shirtと呼ぶのが正式だそうです。写真はそのメイル・シャツを着用し、13世紀(十字軍の時代)のバケツ型兜をかぶったところ。(つづく)